人がテーマのあったかいパン屋

住んでいる街に行きつけの場所ができたら、今日はちょっと寄り道して顔を見て帰ろう。そんな場所になっているパン屋のパン ド クエットのパン職人のクエさんと、奥さんのくみさんに、お店のことや清須のことを聞いてみました。

パンの製造・販売や、オリジナルドレッシングの製造・販売などを行っているパン ド クエットさんは、みんなのお母さんみたいな存在で、お話ししやすく底抜けに明るい「アッハハッー」という笑い声が響く、素敵なお店でした。

何もないのが一つの個性でチャンス

清須のシゴト：パン ド クエットさんは最初からずっと清須なんですか？

パン ド クエットさん：そう、ずっとここで。この場所が何年も空いていて、ちょうどご縁があってお店を開いてからずっとここですね。
お店での販売以外にも配達もやってますね。平日は五条高校の購買部に、土日は清須城に配達していますね。
あ！あとは清須城でやってる朝市に参加したりもしててね。立ち上げのときから声を掛けていただいて、実行委員をさせてもらったこともあったり。

清須のシゴト：清須中を駆け巡ってますね（笑）。

パン ド クエットさん：ありがたいことにご縁もいただいて、今23年目。
周りに大切なお客さまがいて、みなさんがお店を作ってくれている気がします。ありがたいですね。これからもずっと、ここでやっていきたいなと思ってます。

清須のシゴト：そう思わせてくれる清須の魅力ってなんですか？

パン ド クエットさん：清須はね、清須城とかがあるけど、基本的には何もない（笑）。
でも何もないのが私にはチャンスだと思ってて。清須には美味しいパン屋がありますよって言えるじゃないですか（笑）。
あと私自身の出身が清須なんですけど、嫌だとか他の場所がいいとか羨ましいとかは全くなくって、ここが自分の与えられた場所なのかなぁって思ってます。
ここで始めたんだから、ここで頑張ろう！って感じですね。

それに、よく「出身どこですか？」って聞かれたりしたときに、愛知の人は「名古屋です」って言うけど、私は「清須です」って言うんですよね。
そうすると、それはそれでそれぞれが「信長の！」「鳥山先生の！」とかって認識してくれるんですよ。

何もないけど、何もないのが一つの個性で、その人それぞれが想像してくれればいいんじゃないのかなって。
何かをするにしても場所じゃなくて、自分たちがどう発信していくかっていう感覚でやってますね。

パン屋であってパン屋でないパン屋を目指してます

清須のシゴト：どんなパン屋さんを目指していますか？

パン ド クエットさん：パン屋は仮の姿…じゃないんですけど、ただのパン屋さんは目指してないんですよ。
パンはただのツールとしか考えてなくて、パン屋であってパン屋でない、みたいな（笑）。
一番大事なのは、結局は「人」ですね！　みなさんが「パン ド クエット」を選んできてくれる感じ。

清須のシゴト：パン屋は仮の姿…（笑）

パン ド クエットさん：もちろんコンビニエンスストアの菓子パンでもどこのパン屋でもいい、じゃなくて、「ここのパンがいい」「クエさんのパンがいい！」と言ってもらえるような感覚でやってきてます！
でも、クエさんがたまたまパンを作る人だったからやってるけど、違う仕事をしていたらもしかしたら全然違うことしてたかもしれない。
クエさんと一緒に働きたいな、と思ってできたのがパン屋のパン ド クエットだった。

ここに集まる人は、お客さまもスタッフもみんな仲がいい

清須のシゴト：先程から見ていてもお客さまとすごく仲がいいですよね！みなさんがここを好きな感じが分かります。

パン ド クエットさん：そうでしょ（笑）。
ちなみに、そこにいるスタッフは20年以上働いてて、彼女に会いに来る人もいるんですよ！
20年以上前、お客さまとしてパンを買いに来てくれていたときにスカウトしたんです（笑）。

清須のシゴト：お客さまをスカウト！？

パン ド クエットさん：それぐらいテーマが人だからね。パン ド クエットは、パンとお客さまとスタッフさんが自慢のパン屋です（笑）。

お隣の塾の先生、朝市でお隣のお店だった方、お子さま連れのご夫婦、高校生…と、取材中も次々と常連さんがパンを求めていらっしゃいます。パンを買いに、というよりも会いに来た、という感じで次々と。あたたかくて明るい常連さんとの会話にも混ぜていただきとっても居心地よくなりながら、「あのお店行きたいな」「あのお店のあれ食べたいな」と慕われる素敵なお店が清須には、まだまだ沢山あるんだろうなと思いました。